【これで迷わない!】口の中のできもの、何科に相談すべき?

ある日突然、お口の中にできものが…。痛みがあって話をするときや食事をするときも楽しめなかったり、違和感があって常に気がかりだったり、中にはなかなか治らず不安になる方もいるでしょう。

また、「数日様子を見ておいてよいものなのか」「すぐに病院に行った方がよいものなのか」、そうした基準もあいまいなうえ、病院を受診したくても口の中のできものはどの科に相談すべきか迷うことも多いはずです。

そこで本記事では、口の中のできものの種類・症状別に、適切な受診先について説明していきます。あわせて、自身でできる口内ケアや予防のための心がけについてもご紹介しますので、お口の健康維持の参考に、ぜひ最後までご覧ください。

口の中のできもの、あなたはどんな症状?(痛い?痛くない?白い?透明?)

口の中はもともと細菌やウイルスが侵入しやすい部位です。また、食事中に噛んでしまったり、義歯が当たったりすることで、傷や口内炎ができたり、痛みが出たりすることがあります。

口の中のできものができる原因はさまざまあり、できものができる場所も、症状(状態)も、人それぞれです。とはいえ、まずは自身の症状をきちんと把握することが大切。症状によって何科を受診すべきかがある程度絞られてきます。

あなたはどういった症状でお悩みですか?ここで改めて症状を把握してみましょう。

例)

・症状が口の中全体、喉や唇まで広範囲に広がっている
・会話や食事が困難なほど痛みが強い
・義歯のあたりにプクッとしたできものができている
・口内炎が長期間治らない
・口内以外にも症状がある(発熱や倦怠感など)
・ただれや出血がある
・しこりのようなものがある など

口の中のできものに関する受診先候補(4つ)

ここからは、口の中のできものができた場合の受診先として考えられる、4つの候補をご紹介します。

口の中だから歯科なのか?
しかし、口は消化器官の一部だから消化器科なのか?
はたまた、部位によっては内科や皮膚科なのか?
さまざまな疑問が出てくるかと思います。

以下は、受診先候補として挙げられる診療科と、その科で対応できることについてまとめてみました。

歯科口腔外科(もしくは歯科)

口の中のできものや口内炎で受診先に迷った場合は、まずは歯科口腔外科に相談するのがおすすめです。というのも、歯科口腔外科は、口腔内および口周辺のさまざまな治療を専門的に行っているからです。

歯科口腔外科医は、緊急の歯科疾患や口腔内の異常に対応し、患者様のお口の健康と機能を回復・改善する役割を果たしています。このように口腔内・口周りのトラブルに総合的に対応してもらえるため、相談先として非常に有力な候補です。

特に、口の中にできものができた原因として、以下のようなことが思い当たる場合はまず歯科口腔外科を受診してみましょう。

・虫歯による痛みや腫れ
・入れ歯や矯正器具の不具合
・食事中に噛んだ・火傷した
・詰め物や義歯が欠けた など

なお、「歯科」と「歯科口腔外科」は混同されがちですが、歯科が虫歯や歯周病の治療などを主に行うのに対し、歯科口腔外科はより高度で専門性の高い治療や手術に長けています。

とはいえ、歯科でも口内炎の治療を行っているところはありますし、虫歯や詰め物など確実に「歯が原因」と思われる場合には、歯科に相談しても問題ないでしょう。

耳鼻咽喉科

歯科口腔外科に次いでおすすめなのが、耳鼻咽喉科です。耳鼻咽喉科は名前の通り、耳、鼻、喉に関する疾患や症状を診断し、治療する診療科です。

もし、口の中のできもの以外にも、喉の痛みや腫れを伴う場合や発熱がある場合、耳鼻咽喉科を受診すれば、様々な症状を幅広く相談できるので安心です。

ただ、口腔内の異常やできものについて診断と治療を行うことはあるものの、口腔内全般の疾患に関しては一般的には歯科医師が専門です。そのため、口の中にできものや腫れがある場合、まずは歯科医師に相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科医への紹介が行われるというのが一般的です。

内科

口の中のできものについて、内科でも相談することができます。内科で対応しているのは主に、感染症によるものやアレルギー・免疫関連、全身の健康状態によるものなど、あくまで体全体に関わるものです。

しかしながら、内科の診療範囲は幅広いため、口腔内の異常やできものに関する診察や治療を専門的に行う歯科口腔外科等へ相談することが、最も適切な選択と言えるでしょう。

皮膚科

皮膚科は、皮膚および粘膜に関する問題に特化しており、口の中のできものについても診断と治療を行うことがあります。口内の症状やできものに関連するさまざまな疾患や病態についても精通しています。

そのため、口の中のできものについて悩んでいる場合、皮膚科への受診もひとつの選択です。ただし、状態によっては、より口腔内に特化した専門医である口腔外科医が必要となり、その場合には口腔外科を紹介してもらえるでしょう。

※対応してもらえるかどうかの方針はクリニックや医師によっても異なりますので、いずれの科を受診する場合も、事前に電話やホームページで確認すると安心です。

【種類別】口の中のできもの受診先(口内炎・褥瘡性潰瘍)

まずは、口の中のできものとして多くの方が悩まされている「口内炎」をはじめ、できものの「種類」ごとに、その特徴とおすすめの受診先をご紹介します。

口内炎:歯科口腔外科(歯科)or耳鼻咽喉科

口内炎といっても、その原因はウイルス性のものや免疫低下によるもの、歯や口腔内の環境によるものなどさまざまです。もし、よく噛む場所にできる、入れ歯や被せ物の調子が悪いなど口腔内の状態で心当たりがある場合は、歯科口腔外科が最適です。

歯科口腔外科では、口内の炎症や腫れ、痛みの原因を特定し、適切な治療方法を提案してもらえます。また、万が一他の病気が疑われる場合でも、他科への紹介をしてもらえるはずなので、まずは歯科口腔外科を受診してみるのがおすすめです。

もう一つの候補として挙げた耳鼻咽喉科では、口内炎だけでなく、喉や鼻の症状も診療できます。“症状が広範囲にわたる”場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

口内炎の種類と症状をチェック

・アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は、真ん中が白っぽく、縁が赤く境界線がはっきりした丸い小さな炎症が特徴です。しみたり、痛みを伴ったりすることも多く、一般的に1週間~2週間ほどで治るのが一般的です。

ストレスや生活習慣の乱れ、免疫力の低下などが原因とされていますが、そのほかにもさまざまな原因があります。

・ウイルス性口内炎

ウイルス性口内炎は、ヘルペスやカンジダなどの“細菌”が原因で起こる口内炎です。強い痛みを伴った小さな水疱が複数できたり、白い斑点のようなものが口の内側の広範囲に付着して赤くただれたり、ときに舌や唇の裏にも発症することがあります。

細菌の種類により症状は異なりますが、一般的にウイルス性口内炎は時間とともに自然に治癒します。抗ウイルス薬や症状を緩和するための薬物治療が行われることに加え、再発予防策を講じることが重要です。

・カタル性口内炎

カタル性口内炎は、入れ歯や治療した歯の詰め物、矯正器具部分、歯の尖り(八重歯など)などの外的な刺激によって傷ついた粘膜に、細菌が感染して炎症を起こす口内炎のことです。

赤い潰瘍などが見られるのが特徴で、根本的な原因から治療しなければ繰り返し発症してしまいます。

褥瘡性潰瘍(じょくそうせいかいよう):歯科口腔外科or歯科

褥瘡性潰瘍は、義歯や被せ物などが合わなくなり、舌や頬の粘膜などを傷つけた時にできた傷が潰瘍になった状態のことを言います。痛みがあるほか、周囲が腫れたり、ただれやしこりができたりするのが特徴です。外的な刺激が長期間続くことにより、口腔がんの原因になる可能性があるとも言われているので、早めの受診を心がけましょう。

もし、義歯や被せ物が合わなくなった気がするなど、心当たりのある方は早めに歯科口腔外科(もしくは歯科)を受診しましょう。原因を突き止めて早い段階で治療ができれば、綺麗に治ってくることがほとんどです。

口腔がん:歯科口腔外科(歯科)or耳鼻咽喉科

口腔がんは、舌や頬の内側など、口内にできるがんの一種。口内炎と初期の口腔がんは見た目がよく似ており、素人判断では分かりにくいものです。

前述した通り、口内炎は白っぽく、周りが赤みを帯びている(ただれや複数の水疱もあり)のが特徴ですが、口腔がんはそれに近い見た目でありながら、硬いしこりや表面のザラザラ感、出血などが特徴として挙げられます。

また、初期の段階では痛みがあまりないというケースもあり、かえって「痛みがない」ことで放置してしまい、適切な処置が遅れてしまうということもあります。自身では判断が難しいときには、迷わず歯科医もしくは耳鼻咽喉科医へ相談しましょう。

舌がん:歯科口腔外科(歯科)or耳鼻咽喉科

舌がんの症状は、舌の縁や裏にできる「しこり(赤や白)」が特徴です。舌がんの初期は痛みなどの自覚症状が無いケースも多くみられるほか、口腔がんと同様に、口内炎と見分けがつきにくいため、見逃してしまうことも少なくありません。

ただ、口内炎が長くて2週間程度で治るのに対し、舌がんは治療しない限り永久的に症状が出続けます。舌のしこりが2週間以上続く・痛みがないという場合には、まず歯科口腔外科を受診しましょう。他に喉などにも腫れや赤みがある場合は、耳鼻咽喉科で診てもらうことも検討してみてください。

【症状別】口の中のできもの受診先

種類別である程度受診先が絞れるものの、症状によっては自分で口内炎なのか、ほかの病気なのか判断できない、見分けがつかない場合もあるでしょう。

そこで、次は具体的な症状別(トラブル別)に受診先の候補をみていきます。

症状
診療科の候補
考えられる原因など
口内炎ができている
(真ん中が白っぽく、縁が赤い丸くて小さな水疱、水疱が広範囲にある、白い斑点のようなものが広がっているなど)
・歯科口腔外科(歯科)
・耳鼻咽喉科
義歯や詰め物など、「歯」に関する原因に心当たりがあれば歯科口腔外科へ。
口内炎以外の症状を伴う場合は耳鼻咽喉科という判断も。
口内炎に伴い、歯や歯茎付近に痛みや腫れがある
・歯科口腔外科(歯科)
・耳鼻咽喉科
上記と同様
粘膜が赤い、腫れがある
・歯科口腔外科
・耳鼻咽喉科
上記と同様
できもの以外に
喉の痛みや発熱、全身の倦怠感がある
・耳鼻咽喉科
・内科
「歯」以外の原因も考えられるため、総合的に診てもらえる科がおすすめ。
舌や粘膜に異常がある
(舌や頬の内側が白っぽく変色している)
・耳鼻咽喉科
・内科
・皮膚科
全身性の疾患や生活習慣(ビタミン不足やストレス)、感染症やアレルギーなど様々な原因が考えられるため内科等も候補に。
舌や歯茎、頬の内側に「しこり」がある
・歯科口腔外科
・耳鼻咽喉科
場合によっては口腔がん、舌がんが疑われるため、口腔内を専門的に診てもらえる科がおすすめ。
子どもの場合
・小児科
・歯科口腔外科
・耳鼻咽喉科
子どもの口腔は成長期にあり、大人とは異なるアプローチや治療法が必要。子どもに特化した診療や治療ができるかかりつけの小児科にまずは相談しましょう。

すぐに受診した方がいい場合

口腔の症状にはさまざまな原因があります。早期治療によって予防や症状の悪化を防ぐことができるため、以下のような場合はできる限り早く相談しましょう。

痛みが強い場合

痛みが強いときに、明らかにお口の粘膜を刺激しているもの(義歯や詰め物、尖った歯、矯正器具など)がある場合には、少しでも早く症状を改善するためにも、かかりつけもしくはお近くの歯科口腔外科(もしくは歯科)へ相談をすることが望ましいです。

直接出向くことが難しくても、電話で痛みの状態や患部の状態を伝えることで、症状に合った受診方法や必要な検査を提案してもらえるでしょう。

また、自分では判断できない緊急な処置が必要かどうかも、専門家の見解を聞くことができるので、気持ちも落ち着くはずです。

もし、全身的な症状も伴う場合には、先程の表の通り、耳鼻咽喉科や内科なども候補として挙がりますが、判断に迷われる場合にはまず歯科口腔外科(歯科)を受診しましょう。

症状が長期間改善せず、長引いている場合

2週間以上経っても改善が見られない場合や、症状を繰り返したり、他の症状も併発するなど明らかに悪化したりしている場合には、一刻も早く受診するのが安心です。

歯科口腔外科を受診したのち、歯科以外の原因が考えられる場合には、必要に応じて耳鼻咽喉科や口腔外科、内科などの専門医による診断を受けましょう。

口の中のできものの主な原因と対策

そもそも口の中のできものにはどういった原因が隠れているのでしょうか。

原因はさまざま考えられますが、ここでは典型的な原因をピックアップし、それに対する予防策についても併せて説明していきます。

【口内炎】の原因と対策

●原因:虫歯・歯周病、外的要因(義歯や詰め物など)、ウイルス感染、生活習慣、ストレス、ビタミン不足、疲労、不十分な歯磨き、アレルギー、病気など

●対策:・口腔内を衛生的に保つ(定期的な歯科検診・クリーニング)
    ・生活習慣の見直し(夜更かしをしない、休息をとる)
    ・ビタミンを積極的に摂取する

【潰瘍】の原因と対策

●原因…食生活(偏食)、ビタミン不足による口内環境の悪化
●対策
・バランスの良い食事を心がける
・ビタミンを含む食品を摂る

【口腔がん】の原因と対策 ※早期発見が重要!

●原因…喫煙や過度な飲酒、口内炎、ウイルス感染、口内の慢性的な刺激(歯の不良、粗い入れ歯など)など

●対策
・早期発見が重要!定期的に歯科検診を受ける
・喫煙や過度な飲酒を控える
・口内を清潔に保つ

【舌がん】の原因と対策 ※早期発見が重要!

●原因…喫煙や過度な飲酒、口内炎、ウイルス感染、口内の慢性的な刺激(歯の不良、粗い入れ歯など)

●対策
・早期発見が重要!定期的に歯科検診を受ける
・喫煙や過度な飲酒を控える
・バランスよい食事を心がける、十分な栄養を摂る
・口内を清潔に保つ

自分でできる「口内ケア」の基本!口の中のできものの予防策!

最後に、お口の健康を保つため自分でできる簡単なケア方法をご紹介します。まずはできることから習慣化していき、できものができにくい口内環境を目指しましょう。

歯磨きや適切なお手入れで口腔内を清潔に保つ

歯磨きは、口腔内の清潔さを保ち、虫歯や歯周病などの予防に役立ちます。以下のような点に気を付けながら継続していくことで、口内環境が整い、できものができにくくなります。

・歯磨きは1日2~3回、3分程度を目安に行う
・歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間の掃除をする
・洗口剤で口の中をゆすぐ
・義歯や矯正器具の適切な手入れを行う
・ドライマウスの方は、こまめな水分補給

バランスの良い食事を心がける

バランスの良い食事を意識することで、口内環境が改善し、できものができにくくなります。

・ビタミンやミネラルが豊富な野菜・果物を積極的に摂取する(特にビタミンB群)
・糖分や脂肪分の摂りすぎに注意する
・こまめな水分補給を行う

規則正しい生活へ!生活習慣を見直す

夜更かし、ストレス過多の生活、寝不足は、お口だけでなく身体全体の免疫力低下につながります。

・早寝早起き(夜更かしはしない)
・十分な睡眠時間を確保する
・適度な運動を継続する など
生活習慣を見直し、健康的な生活を心がけましょう。

【推奨】定期検査を受けて早期発見・早期治療を

口の中のできものや症状に早く気付くことができれば、早期治療が可能となり、悪化や合併症を防ぐことができます。

自分では症状を見逃してしまう場合や、普通の口内炎だと思って放置してしまう場合など、自身のセルフチェックだけではどうしても最適な判断ができません。

その点、定期的に歯科医院で検査を受ければ、自分では気付かない口の中の異変も素早くキャッチしてもらえて、必要なときにはいち早く治療、改善へと導いてもらえます。

何より早期発見・早期治療が大切!特に気になる問題がなくとも、定期的に歯科検診を受けることをおすすめします。

口の中のできもので不安なときは専門機関へまず相談!

口の中のできもののほとんどが2週間程度で自然治癒するようなケースではあるものの、症状が長引く場合や痛みがひどいときには、自分で判断せず専門家に診てもらうのが安心です。

口内トラブルの予防・お口の健康維持のためにも、ご自身でできる適切な口内ケアを継続しつつ、定期的に歯科検査を行いましょう。高田歯科クリニックでも、患者様のお口の状態チェックや必要な治療のご提案、セルフケアの指導などをおこなっております。

当院のある東京都杉並区にお住まいの方をはじめ、お口の中で気になることがある方は、まずはお気軽にご相談ください。

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